Vol.8 歴史でたどる映画の舞台、パリ
 

パリの映画というと、誰しも思い浮かべるのは「アメリ」のモンマルトルだろうか。「勝手にしやがれ」でジーン・セバーグが「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン!」と叫んで新聞を売り歩くシャンゼリゼ大通りや、「カサブランカ」の戦前の回想シーン。「天井桟敷の人々」の群集にあふれる犯罪大通りも印象深い。いま話題の「ダ・ヴィンチ・コード」もルーブル美術館、サン・シュルピス寺院など、パリの名所が満載だ。

そんな映画の舞台パリを描いた映画数百本を一同に集めた「シネマのパリ」展が、パリ市で開催中である。連日、長蛇の列ができる人気だという。ポスターにはルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」からジャンヌ・モローが起用された。

パリの市庁舎における展示の冒頭は、1895年に始めて映画を有料公開した「映画の父」ことリュミエール兄弟の作品で、オペラ座の前を行き交う馬車の姿が時代を映し出される。

1920年代に入ると、ルネ・クレール監督が活躍し始める。「北ホテル」のサン・マルタン運河や「巴里祭」の町並みはみなセットであった、などと映画の舞台裏が当時の写真やデッサンで紹介される。

展示はドイツ占領下に製作された「天井桟敷の人々」や、1950-60年代のゴダール、トリュフォーらヌーベルバーグの監督によるパリの再評価。さらに3月に公開されたばかりの2054年のパリを描くフランス製SFアニメ「ルネサンス」へと時代を下る。

締めくくりは、パリを描いた映画のハイライト集の上映だ。「望郷」ではジャン・ギャバンとミレーユ・バランの2人が、パリについて連想する地名や言葉を言い合いながら、パリの映像なしにその魅力を描き出すというこのにくい演出。

「映画を通じて、時間と空間を越えてパリを再発見してほしい」とはドラノエ・パリ市長の話しだが、この日本でも「シネマの東京」展が見られる日が早く訪れて欲しいものだ。