Vol.6 アートとライフスタイル
 

「クールジャパン」とか「ジャポニズム」といわれる日本趣味が欧米で大ブームである。欧米の人たちが惹かれたのは、六本木ヒルズでも高級車でもなく、ありふれた日用品や住宅関連用品、街中の商業施設だった。

世界のデザイン雑誌は、いま、日本の商業デザインに注目している。日本のデザインは他のどの国とも違う美意識に満ち、斬新なアイディアと細部へのきめ細やかな配慮があるという。しかも、世界が注目する最高のデザインは銀座や青山ではなく、ごくありふれた街角のあちこちで目にすることができるという。

とんかつ専門店のロゴマーク、機能性を極めたコンビニショップ、生活に根付いた民芸風レストラン、ベルトコンベアーの上にすしが乗って回る「回転すし」、漆モデルの携帯電話などなど、日本のデザインは伝統的な技巧とモダンな表現が調和した生活の美に特徴がある

ロンドンの高級百貨店ハロッズの調理用品フロアで売れている日本の包丁「グローバルナイフ」がある。この包丁の切れ味は抜群、刃を研ぐ手間もかからず、刀を思わすような独特のデザインが施されている。「サムライの刀の台所版」の異名を持つこの包丁は、いまやイギリスの一流シェフがこぞって愛用しており、イギリスの調理用高級ナイフ市場の約半分を占めるという。

もともと日用品であるこういった品々は、凝った装飾はないものの、飽きのこないデザインで日々の暮らしの役に立つほか、見るひとにとって機能美を感じさせる。

一方、「100年残せるものを」と服を作るデザイナーがいる。若い女性に高い支持を受けるブランド「ミナ ペルホネン」の皆川明さん。もったいない精神とはおよそ縁遠いファッションの世界で、服を作った余り布で20センチ四方ほどのミニバッグを作って評判を呼んだ。日本ファッションの代表格着物は三代もち、七回生まれ変わるといわれる。日本語の「もったいない」は、いまや、環境保護の合言葉「MOTTAINAI」として世界に広まりつつある。

島国、あるいは長い鎖国という歴史的、文化的背景は少ない資源で生きる循環型社会と簡素な暮らしの中にも日常を鼓舞してくれる独特のアート様式を生み出してきた。大量生産、大量消費、大量廃棄の二十世紀型の生き方とは違う和の生活様式と、その日用品は、「桜」「富士山」「芸者ガール」に代わる日本の代名詞として確固たる地位を占めつつある。